「叔父貴さ~、あの顔で合コンとか行ってたんだぜ?」とあたしが苦笑いをすると
「マジで?」と戒は楽しそう。
「絶対に同じメンバーになりたない」とキョウスケは額を押さえる。
「でもそうしたら女子全員あいつがさらっていくだろうな…それは悔しい」
戒は歯軋りをして
「いや…それがあんまそうじゃないらしいよ?」
あたしがタチバナとのやりとりをかくかくしかじか話きかせると、戒は爆笑してたしキョウスケは魂抜かれたような顏してたし。
「あ、でも…叔父貴途中から電話掛かってきたんだ」
「電話?」と戒が目を細め
「あんま覚えてないけど……滑り台?みたいな名前だった。電話の相手は女らしくって、あ!そうだロシア人とか!何か武器商人とか…」あたしは声を潜めて二人にこそっと言うと
「滑り台??」と戒が首を捻り
「もしかして、スヴェトラーナじゃありません?」とキョウスケが言い
「そう!それ」
「スヴェトラーナ?」戒がまたまた首を捻る。
「ロシアの環境保護施設のセンターで、施設名はズェルーツカ。
スヴェトラーナはそのセンターの副センター長です」
キョウスケが説明をくれたけど、何だか難しくて頭に入ってこない。
でも戒は早々に理解したのか
「ふーん、でも環境保護センターが龍崎 琢磨に何の用があんねん」
と頭の後ろで手を組み
「表向きは環境保護団体を名乗っていますが、裏で黒い噂も立ってます。
まさか武器商人だったとは」
キョウスケが顎に手を掛け
「ふーん、でも何でお前が知ってるん?」と戒が聞き、あたしも頷いた。あんまよく分からないけど、環境保護施設の裏の顔が武器商人ってことで合ってるんだろ?
「うちの親父とも取引があったようで…
けれどちらっと聞いた名前だし、インターネットには環境保護施設で宣伝されてたし」
なるほど。
大まかなことは分かった。
でも今は叔父貴のビジネスよりも旅行の方が気になる!
「明日何着てこ~かな~」
とすぐに話を変えて「ワンピース希望♪」と戒も乗ってきたが、キョウスケだけは何事か考えていて、黙り込んだ。
何だってんだよ…



