「けどさ~イチも旅行来るんなら10月の試写会に行かなくても会えるってことだよな。キョウスケと戒は会ってるみたいだけど」
と何となく切り出すと
キョウスケの片眉がぴくりと吊り上がった。
一瞬……不機嫌とは違う種類の、むしろ殺気に近いものを感じて
「あ!でも映画の試写会って初めてなんだよね!やっぱ行きたい」と手をあげると、まるで話題を変えるように
「ところで昨夜はどこにいたんですか?」と当の不機嫌(?)キョウスケが聞いてきて
「あ……うん…叔父貴と…」
せっかく楽しかったのに、何だか急に自分が後ろ暗いことをした、と言う現実を突きつけられ、あたしの声は小さくなった。
けれど戒はあまり気にしてないようで
「どっか行ったんか?うまいもんでも食わしてもらった?」
とさらっと聞いてくる。
「あ…うん。居酒屋…行った」
「居酒屋ぁ?あいつ…未成年を堂々と連れていくなよ」と戒が口を尖らせて
「あ、あたしが行きたいって言ったんだ。居酒屋行ったことないから。
お、お前らは?居酒屋行ったことある?」
話題を何とか変えようと二人を交互に見ると
「俺はないな~」と戒が言い
「俺は、大学の仲間とかで」
そっか~、そうだよな~
戒は普通に未成年だし、キョウスケは大学の付き合いだってあるだろうし。
何だか色々吹っ切れた。開き直ったと言った方が正しい。



