「どうせ行くなら、明日の夜出発してその日泊まって、次の日まる一日遊んで泊まって、次の日朝イチで帰るってのはどうだ~?」
と戒が楽しそうに提案して
「それ、いいッスね!」とキモ金髪だけが同意。
……確かに、運良く(?)明後日はお店の定休日だ。あたしも戒も当然お休み。その次の日、戒は遅番。帰ってきてから…でも間に合うっちゃ間に合うが。
「お前もイチんとこのスケジュール押さえろよ?あの鬼マネージャーの同意が必要だろ?」と戒が目配せして、キョウスケは頬を撫で
「いいですけど……許してくれますかね。またビンタされるかも…」と眉を寄せて苦笑。
ビンタ??
それでも大人しくケータイを取り出している。
「それだと、すぐにエリナと千里にも聞かなきゃ!急に泊まりってことになるとおうちの人の承諾とか必要だろうし」
とリコが慌ててケータイを取り出し、もう行くモード全開。
この流れに、キマヅイのあたしだけ??な気がして、今更止めることもできない。
その勢いでリコがエリナに電話をして、あたしが千里に電話、そいでもってキョウスケはイチに電話と言うことで、一つのテーブルで三人が同時に電話を掛けた。
幸いなことに千里はすぐに電話に出た。
『おっす!どした~?』と千里の能天気な声を聞いて
「あ…うん…急なんだけどサ、明日の夜から明後日の朝まで、みんなでプチ旅行行こうってことになったんだけど、お前も来る?」おずおずと聞くと
『(プチ)旅行??みんなと?メンバーはお前と…』
「リコと戒とキョウスケとキモ金髪と、まだ決定してないけど、エリナと……キョウスケの……彼女と…」
最後の方は声が沈んでいく気がした。足掻いてると思われそうだけど、やっぱリコの居る手前手を叩いて喜べるメンバーではない。
『え?キョウスケさん彼女できたん?
てことはリコは……』
と千里も流石に空気を読んでいて
『リコは大丈夫なんかよ……』と声を潜めて聞いてきて、あたしは隣で楽しそうにエリナに電話しているリコを見て
「…うん、そっちの方は大丈夫…?な気がする」
『大丈夫な気がする……て。空元気じゃね?』
「それもあるだろうけど……本人行きがってるし。心配ならお前もこれば?」
『うん……そうだよな…あいつのことも心配だし…お前も心配だし…』
「は?あたし?」
『ちょっと前まで具合悪そうだったろ?』
そーだったね……てか覚えててくれたんだ。
『それに…!龍崎も一緒だろ!!あいつと二人きりにさせないぜ!!』
あっそ、そっちの心配??
じゃぁ千里は出席ってことで。



