キョウスケは―――ちゃんとリコに向き合った。あたしもそれを責めなかった。
でも心のどこかで、何でキョウスケがリコを選んでくれなかったのか、ちょっと怒ってたのかもしれない。
キョウスケと二人夕食を食ったとき、リコとキョウスケ二人の幸せを天秤にかけ、あの一瞬キョウスケの方に行ってたのに、今は「やっぱりリコ」てな具合に、自分の気持ちがコロコロ変わるのにちょっと嫌気がさす。
「キョウスケ…塩辛はねぇみたいだ。他のもんにしな」と言うと、目に見えてキョウスケがほっとしたのが分かった。
「俺はね~!から揚げとポテトフライとコーンピザ♪」と戒があたしの横から言って
「おめぇ、夕飯前にそんなに食うんかよ」と突っ込むと
「戒さんの胃袋はブラックホール」とキョウスケがぼそっと呟き
「龍崎くんて見た目によらず結構食べるよね~♪」とリコが笑い、
「でも豪快な食べっぷりがいいっすよね」とキモ金髪が戒に笑いかけ
あたしたちは束の間『いつも通り』を取り戻した気がした。
その後は戒が(勝手に)注文した料理がテーブルに届いて、あたしたちは思い思い食べたり飲んだりした。
叔父貴と行った居酒屋とは全然雰囲気も質も違うケド、やっぱりあたしはこっちの方が似合ってるのかな…
だけど
「あ、リコちゃんもお土産貰ったんだ~」とキモ金髪が、リコのあたしがあげたお土産を指さし
「そうなんです、ストロベリー味♪」とちょっと笑って楽しそうにお土産を掲げるリコ。
リコ……あんた何でそんなに可愛いんだ。
あたしは不穏な空気もふっとばすリコの悪意のない笑顔に一発KO…
なのはあたしだけじゃなく、
「そっちも美味しそう!♪」
キモ金髪……おめぇ何でそんなにデレデレしてんだよ…
キモッ!



