「蟻はギ酸……この手は使いたなかったけど、最終手段や。引っ越しするか」
どっぷりと響輔ワールドにはまっている響輔を目の当たりにして、びくびくしながら進藤がこそっ。
「シロアリって何ですか?殺虫剤って?ギ酸??何かの暗号スか?キョウスケの兄貴引っ越しするんすか?」
「知らない方がいいぜ?」
俺は苦笑い。
てかイチもな~響輔と付き合うことになってちょっとしおらしくなるかと思いきや、全然変わってないみたいだしな…
「ま、我儘言えるぐらい元気になって、ええんちゃうん?」
俺が再び口の端で苦笑を浮かべてると
「人事やと思って!」と響輔がキっと俺を睨んでくる。
響輔……怖ぇえよ。
「と、とにかく響輔の兄貴の彼女は女優で、しかも我儘ってことすね」
「ああ、そのまんまだな」呆れたように言っている横で
「見てろよ、一結……いつかギャフン言わせたるからな」響輔はテーブルに乗せた拳をギリギリ。
てか、ギャフンって死語じゃね??
「きょ……響輔の兄貴がもしその女優と別れたら……ま…またリコちゃんの気持ちが響輔の兄貴に戻っちまったりしたら…」と進藤は真剣。
進藤……お前も相当だな。



