「それより、おめぇ来るのが随分早かったじゃねぇか。何してたんだよ。
狩り(ナンパ)か?」
と聞くと
「いえ!そんなことは…!ちょ…ちょっと用事があって…」
と進藤は珍しく言葉を濁す。そいやぁ、やたらと響輔と距離を取りたがってるみたいだし。て言うか気を遣ってる、と言った方が正しいのか。
いつもは『恋』が絡むと響輔の味方っぽかったのに。妙によそよそしい。
何かを隠してるな、と俺は踏んだ。目を細めて進藤を観察してると
「あ、兄貴たちは…」と口を開き
「あ?」
とまたも聞くと
「戒さん、目つきが怖いって金髪く……あ、今は黒髪くん?が」
黒髪?お前も律儀だな、金髪でいいじゃねぇか。
てか目つきが悪いって…素の俺がこーなの。
なかなか用件を言い出さない進藤に焦れて俺はタバコを口に運んだ。
朔羅もこねーし。何が悲しくて野郎の話に付き合わなきゃなんねぇだよ。
こちとら一週間て期限切られてるんだよ。
と、半分八つ当たりで苛々していると
「あ、兄貴たちは……
普段仲良くしてる女の子で……でも全然意識してなかったのに…急に意識しだすって経験ありますか」
おずおずと言われて
「いや?ねぇな」と、殆ど考えず答えると
「え!答え早っ!」と進藤。
「てめぇが『あるか』って聞いてきたんだるぉうが!俺ぁ朔羅が居なくて気が立ってんだ!」
俺が進藤の胸倉を掴むと
「か、戒の兄貴、今日いつもにも増して機嫌が悪いっすね」と進藤は両手を上げて“降参”ポーズ。しかも響輔にぼそっと耳打ちしてるし。さっきの妙なよそよそしさは何だったんだ?
響輔はちょっとため息をつき
「いつもこうですよ。基本カルシウムが足りてないんです、このひとは」
とあきれ顔。
うっせぇ!おめぇは過剰摂取だ!魚ばっか食いやがって!!



