俺がファミレスの位置を伝えると、それから五分も経たないうちに進藤は姿を現した。


「お疲れ様です!……て兄貴!どうされたんですか!その顔っ!」


あわあわと口に手を当て進藤は真っ青。


俺は口元に張った小さ目の絆創膏を指でちょっと撫で





「あー、これ?日本一の殺し屋と、ちょっとやりやってん」




と言うと進藤はもはや言葉も返せないと言う感じで目と口を開いている。


「冗談だ。ま、お前も座れば?」と促すと、進藤はぎこちない動作で向かい側…響輔の隣に何とか腰を下した。最初響輔の近くに座ったものの、ちょっとだけ体をずらし距離を置く進藤。


「喧嘩っすか?姐さんと?」と進藤はまだこの傷をつけた相手が気になるよう。


「あいつはこんなことしねぇよ。ってかアイツどんだけ激しいんだよ!」と思わず勢い込み


「朔羅はやらなさそうだけど、川上なら有り得るな」とボソっと言い


「え!?」と進藤がビクリと肩を揺らした。


「あ?」


何かあっか?と言う意味で睨んで…


「てかお前こそどーしたん、その髪」と俺はここになって、こいつのトレードマークになってる金髪から黒髪にシフトしてることに気づいた。


「ああ…これはちょっとワケありで」


聞くと、進藤の兄ちゃんの嫁さんがこっちに来てると言う。嫁さんが居るときだけでもまともにしろ、と進藤の親父の雷が落ちたらしい。


そう言えば、進藤んちの両親って何してんだ?


前に親が別荘持ってるみてぇなこと言ってたよな。


とちょっと思ったが、そんなこたぁどーだっていい。


「ほらよ、ありがたく受け取れ」


と、響輔にも渡したMIRACLEランドのチョコクランチをテーブルに滑らせると、危うい手つきで進藤がキャッチ。


「あざーっす(ありがとうございます)。姐さんとデートすか」


「あいつ以外、誰が居るってんだよ」


「戒さんはお嬢と言う本妻がありながら、愛人3にん(金魚:うち一人は俺が誘拐した)と現地妻(ネコのみぃ)がひとり」とボソッと進藤に耳打ち。進藤が開けていた距離を響輔が簡単につめたが、進藤は


「あ、愛人?現地妻?」と響輔の衝撃発言に目をぱちぱち。


そのことはノーコメント。当たってるだけに何も言えない。