その後30分ぐらいは朔羅の部屋に居た。久しぶりに三人くだらない話で盛り上がり、笑ったり時にちょっと怒ったり、でも


こうして三人で笑い合えるときが来るなんて―――……


30分間、朔羅にこれと言った変化はなかった。変わらず良く笑うし、時々暴君。


ちらりと時計を確認すると夜の10時近くになっていた。


「遅くまでワリ、俺たちも風呂入って寝るわ」


と言い出すと、朔羅も「おう、アイスココアありがとな。おやすみ~」と言ってにこにこ。


しかし予断を許さない状態だ。


最初朔羅が変化したのは数時間経っていた。どれぐらいのタイムラグがあるのか分からないが、いつ変化してもおかしくない。


響輔と一緒に、夜中に何度も朔羅の部屋に行ってあいつの姿を確認したが、朔羅は起きだしてくる気配もなく俺が買ったミラビを抱っこして、気持ち良さそうに眠っている。


そうして朝が来た。


朔羅が心配でろくに寝れなかった。ほとんど完徹状態だが、響輔も同じ。


台所で眠気覚ましのコーヒーを飲みながら、二人で欠伸をかみ殺していると、朔羅がひょっこり顔を出した。


朔羅は俺たち……と言うより俺??を見ると


「どーした!!戒がこんな早くに起きてるなんて!


明日は槍が降る!?」


と、あわあわと口元を覆い、いつも通り。


俺たちが解毒剤を飲ませてから、十時間近くは経ってるが、これと言った変化はない。


二人して安堵のため息をつき、同じタイミングでずるずると椅子から滑った。


「何なんだ?お前ら、変なもん食ったか?」


と、朔羅だけがいつも通り。


「いや?何も食ってねぇよ」と笑いかけると


「そうか~?」と朔羅は目をぱちぱち。


「とりあえずは、あの解毒剤がホンモノだったって証明されたわけですね」


響輔が朔羅に聞こえないようにこそっと言ってきて


そうだ、


これから一週間―――



長いようで、短い7日間になりそうだ。




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