私はお世話になった、ピアノの先生、赤城心愛〈アカギココア〉先生の元に向かった。

外に出ても音は聞こえない。この世界って、こんなに静かだったんだ。そう気付かされる。

ピンポンー

チャイムを鳴らす。けど、やっぱり音は聞こえない。本当になっているのか不安になる。

「はーい……あら?神楽ちゃん?」

「せん……せい」

良かった。チャイム鳴ってたんだ。出て来てくれたのは心愛先生だった。私の様子を見たのか、直ぐに家の中に促され、リビングのソファーに座る。

「神楽ちゃん。何かあったの?」

心愛先生は、とても心配してくれている。声は聞こえなくても顔を見たらなんとなくそう思っている事が伝わってきた。

「先生、私…耳が聞こえなくなったの。」

先生は私に嫌な顔1つせずに聞いてくれた。そして、何かを手に取って戻ってきた。その手には、メモ帳とペンを持っていた。そして、先生は口に出したがらも、紙に書いて見せてくれた。