そんな俺にも唯一と言っても過言ではない友達がいる。

「蓮太~、まーたお金取られたのー?」

こいつだ。小野田 京香、俺の幼なじみだ。

「あぁ、今日は3000円だけだけど。」

「3000円も!だよ!そろそろ先生に相談したら?」

京香は心配そうに俺に近づく。

こいつは優しい上にかなりの美人なもんだから困ったもんだ。

「無駄だよ。教師なんてあてにならない。」

「...でもこのままなのも嫌でしょ?」

「まあ、もうすぐ夏休みだし今はそんなに考えてないかな。」

「ふーん...そうだ!夏休みあそびにいこーよー!結構近くにめっちゃ綺麗な海あるんだって!」

京香はいつもこんな風に遊びに誘ってくれる。だが、他の友達も連れての事の方が多い。

俺は極度の人見知りなので、京香の友達はいい人が多いのだが、なかなか仲良くなれず、いやむしろ素っ気ない態度になってしまっているだろうから、かなり印象は悪いだろう。

それでも京香は友達に俺は悪い人じゃないと説明してくれてるあたり、ほんとにいい友達だと思うし感謝はしてる。

だが、俺は最近彼女の誘いにあまり乗り気になれないのだ。

「ごめん...俺は遠慮しとくよ。」

「ええっ...なんで!?」

京香は俺の大事な友達だからこそ、これ以上彼女に迷惑はかけたくない。

そもそもこんな可愛い子が、俺みたいな奴と遊ぶいう状況がまずやばい。

「俺が行ってもあんま馴染めないしさ...」

「そんなことないって!私の友達みんなフレンドリーだし!」

「う~ん...」

フレンドリーだからこそ申し訳ないんだよなぁ...

「まぁ、考えとくよ。」

「よし!また連絡するね!」

京香はそう言って教室を出ていった。

それと同時に4時間目始業のチャイムが鳴る。

あれ...4時間目ってなんの教科だっけ...?

と、悩んで誰かに聞こうとするが俺には友達がいない。

はぁ...寝るか。