「いらっしゃいませー!こちらへどうぞー!」

レジの店員が手を上げて笑顔で俺たちを呼ぶ。

これもまたあまり慣れない。

いや、まだレジの店員は相槌をうっとけばいい事の方が多いが、問題は飲食店で店員を呼ぶ時とかだな。これはマジで俺には辛い。

と、そんなことを考えてぼーっとしていると

「ポイントカードはお持ちでしょうか?」

と聞かれて

「あっふんっっ」

と変な声が出てしまった。

横でMがクスりと笑う。

「あっ、あっ、あっ、あのえっと、なななないです!」

店員も少しにやけ顔だ。

最悪だ。

会計を済ませ食材を袋に詰めていると、横からMが顔を覗かせて

「意外とコミュ障なんですね(笑)」

と馬鹿にされたが俺は馬鹿にされたことより「意外と」という言葉に引っかかった。


俺はこの女の子に対してはちゃんと会話出来ているということだ。

てかそうだよな。可愛さには慣れないが、会話は普通にできる。なんでだろうか?

と、またそんな考え事をしているとMに肩を叩かれた。

「あの!」

「あっあっはい!」

俺はびっくりしてまた変な声で返事してしまった。

Mはまたクスりと笑う。

「まだ名前聞いてませんでしたよね?なんて呼べばいいですか?」

「あ、そっか....」

名前か.....本名は避けといた方がいいよな。偽名にするか....

「れん...たさん....?」