そしてテーブルに置いてあるルーズリーフを手に取って「これは誰でしょう?」と楽しそうに訊いた。


「……解んない…あ、あの漫画の人? ほのかの好きな」

「ブー! 惜しいけど。正解は………宗ちゃんでしたー!」

「えっ、これ僕だったの?」

「そうだよ、よく描けてるでしょ」

彼女は得意げに笑うと、持ってきたリュックからプリントを取り出した。

「宗ちゃん勉強しよ。私あれからたくさん勉強して、言語学たぶん完璧に覚えた。宗ちゃんに試験の点数勝てるかも」

「えっ、」



それからお昼過ぎまで勉強をした。

昼ごはんに、ほのかが好きだと言っていたカルボナーラを作ったら、すごく喜んで食べてくれた。

食べ終えて、片付けは僕がやるから先に勉強再開していいよと声を掛け、洗い物をした。


「……ほのか?」

戻るとそこには、テーブルに置いた腕の上で寝息を立てるほのか。

……おなかいっぱいで寝ちゃった………?


眠る彼女を見て、僕はもう絶対に、彼女を傷つけたり悲しませたりしないと強く心に誓った。


幸せそうに寝息を立てる彼女の髪を撫でて、僕は愛おしい彼女の頬に、そっとキスをした。


「っあ、寝てた…っ」

「っ、!」

急に起き上がったほのかに、びっくりしすぎて飛び上がった。

い、今の、気づかれた………!?


「宗ちゃんどうしたの口開いてるよ? 勉強再開しよ」

「あ、う、うん…」


気づかれてない………?

どっどっ、と脈を打つ胸を深呼吸で何とか治めて、僕は彼女のとなりに座った。






( ルーズリーフの落書き )