彼女からの思い掛けない言葉に、僕はただ目を見開いた。


「…今日連絡したのも、あれはただの口実で、宗ちゃんと話したかったから……会いたかったから、勉強は、一緒にしたかったけど…」


え…………そういうことだったの…………?


「……ごめんね宗ちゃん、嫉妬する女はよくないって、攻略法に書いてたのに………けど、こんな気持ちになるの初めてで、どうしたらいいか、全然解らなくて…」

その言葉に、胸の奥がきゅっと掴まれるような感覚があった。

………何、これ、


「……ごめん、ほのか。気づけなくて、傷つけて」


ほのかにそんな思いをさせてしまったことに対する申しわけなさや、何であの時ルーズリーフ見なかったんだって後悔の気持ちがどんどん湧き出る。

………のに、どうしてか僕の心の中には、そんなほのかがすごく愛おしくて仕方ない気持ちも、どんどん膨らんでいって、思わず彼女を抱き締めた。


「宗ちゃん…?」

「ごめんねほのか。…確かにほとんど早瀬ばっかりで、全然ほのかと話せてなかった。ごめん」


彼女を傷つけてしまったのに愛おしいと思うなんて………僕は最低だ。


「…宗ちゃん大丈夫だよ、傷ついてないよ、ちょっとやきもち妬いただけ」

僕は彼女を抱き締める力を緩めて、正面から彼女の顔を見た。

「ごめん本当に。気をつける」

「いいよ、私も今度からは、ちゃんと言うようにする」

彼女は笑って、「宗ちゃんもうそんな顔しないで」と僕の頬を摘んだ。