「ほのか何飲む? 緑茶と紅茶とコーヒーあるけど」
「宗ちゃんと同じの」
聞き覚えのある返事だなと思ったら、僕がほのかの家に行った時に、何飲むと訊かれて答えたものと同じだった。
覚えてたのか、と少し笑って、冷蔵庫から冷やした緑茶を出してコップに注いだ。
「宗ちゃんこの本全部読んだの?」
さっき出した折り畳みテーブルに持ってきたコップを置くと、彼女は本棚に目をやった。
「ほとんど読んだよ、何冊かまだ読んでないのも混ざってるけど」
「へえ〜すごいな、私、本は好きだけどあんまり読まないから。漫画はたくさん読むけど」
「…あ、」
漫画と聞いて思い出した。
「ほのか…これ、ほのか描いた?」
さっき見つけた、ルーズリーフの隅の絵を彼女に見せる。
するとそれを見た彼女は、ああ…とこぼして、目を逸らした。
ん………? 僕何か悪いこと言った…………!?
「…ごめん宗ちゃん、何でもないのそれ。ごめんね勝手に描いて」
「え…いや、描くのは全然いいんだけど…」
……何となく、機嫌悪い……気がするのは、気のせい………?
「……ほのか、何か、あった…?」
「……」
えぇ……どうしよう、僕が気づかない間に、何かあったのかな、全然解んない………あれ、もしかして、僕が原因とか………?



