「……早瀬、とりあえず、1番内容の軽い科目からやろう。僕教えるよ」
そう言うと、彼はものすごい勢いで顔を上げ僕を見た。
「え……マジ…ホントに……?」
「うん。まだ復習足りてないところもあるけど、大まかな内容は理解してると思うから」
「ありがとう宗! いや宗様! 帰りラーメン奢る!」
目を輝かせ一気にやる気を出した彼は、「お願いします、宗様」と、僕のとなりの空いている席に移動した。
「っあーー! こんなに真面目に勉強したの久しぶりだ、疲れたー!」
「お疲れさま」
「宗マジありがとう、明日も頼んでいい?」
「うん、いいよ」
時刻は19時を回っていた。早瀬に教えることに夢中になって、時間がすごくあっという間に感じた。
「腹減った〜、ラーメン行こうぜ」
何枚も重なったルーズリーフやテキストをまとめながら、早瀬はそそくさとそれらを鞄にしまった。
「天音もほのかちゃんも行こうぜ、俺奢るよ」
「え、ほんとに?」
同じように鞄にテキスト類をしまっていた天音さんが、即座に反応した。
「何か、勉強して理解した達成感で心の余裕がすげーことになってる」