「宗ちゃん、お金…」

「いいよ、今日は僕の奢りで」

「いやでもそんな…」

「気にしないで、僕にごちそうさせて」

「あ…ありがとう…」


店を出たはいいが、次のプランは何も立てていない。

……盲点だった。カフェのことで頭いっぱいで、その後のことを何も調べていなかった………


「せっかく来たし、このへんお散歩しよ、何かあるかも」

「あ……うん」

僕の心の中を読み取ったのか解らないけど、ほのかはぽんと提案してきた。

……僕がちゃんとリードしなきゃいけないのに………しっかりしろ…!



ほのかと並んで歩いていると、前方に木がたくさん並んでいるのが見えた。

「…あれ、何だろ、公園?」

彼女もそれを見ていたようで、行ってみよう、と僕に言った。


近づくと、それは大きな公園だった。

「すごーい、こんな大きい公園来たことない! ブランコあるかな?」

彼女は小さな子どもみたいにはしゃいでいる。目を離した隙に、どこかに行ってしまいそうなくらい。


そこでふと、僕の横を、僕達と同じ歳くらいのカップルが、仲良さそうに手を繋いで通り過ぎた。


「ほのか」

「え……えっ?」

「…え、あ、」

気づいたら、僕は彼女の手を握っていた。さっきの見て無意識にやったの僕………!?

気づいた途端恥ずかしくなって、顔が赤くなっていないか心配になった。


「いや…ほのかが、はぐれてどこかに行かないように…」

苦し紛れの口実を作って彼女にそう言ったが、伝わったのか伝わっていないのか、彼女の頬は心なしか少し赤いように見えた。