「ガチでやるやつもたくさんあるけど、しょうもないやつをやるのも好きで。……宗ちゃん知ってる? これ」

そう言ってほのかは、僕に画面を見せた。そこには、何やら鳥のイラストのようなものが映っている。


「…いや、初めて見た」

「これ、ニワトリがカラスから逃げるだけのゲーム。あ、ヒヨコをキャッチするとニワトリのスピード上がるの」

「…」

「ね、しょうもないでしょ。けどこれ中毒性あるの、面白いよ」

彼女は本当に楽しそうに笑った。ゲームも相当好きなんだな…


「宗ちゃんは? 休みの日何するの?」

「え、僕…?」

スマホを鞄にしまった彼女は、今度は僕に訊いてきた。


「…僕は、本を読むかな…課題やったりもするし、たまに掃除もする」

「へえ〜…やっぱり頭いい人って本読むんだ…」

「え?」

「宗ちゃんに課題教えてもらった時すごくわかりやすかったから、きっとすごく頭がいいんだろうなあって思ってたの」

「そんなことないよ」


何せあの高校の周りにはほぼ何もないから、遊びに行ってもフードコートで勉強したり、家にいても本を読むか少しテレビを見るか、課題をやるか…だから、自然と勉強する時間は多かった気はするけど…。