三次元彼氏。


「また1つ大人になった気分」

「…え、どういうこと?」

「テラス席でお食事って、大人のイメージなんだけど……宗ちゃん違った?」

「初めて聞いたよ」

ええ〜、と言いながら、彼女は既にメニューに食いついている。


「………宗ちゃん」

「ん?」

「どうしよう、決められない」

「え…」

「パスタだけで既に3つ食べたいのがあったのに、次のページ開いたらピザまであるの…美味しそう…マルゲリータ………」

「……」


そうだった忘れてた。

彼女はものすごくよく食べることを。


初めてのデートだし、お昼くらいごちそうしようと思って来たけど……だ、大丈夫かな、お金足りるかな………


「……あ」

ページをパラパラとめくりながら、美味しそうをひたすらこぼしていた彼女は、急にピタリと停止した。


「……だ、ダメだよね、こんなお洒落なお店でも食い意地張ってたら…ごめんなさい、パスタ1つだけに…」

「いいよ、ほのかが食べたいもの頼もう。で、2人で分けるのはどう?」

「え……」

あまりにも嬉しそうにメニューを見るほのかを見ていたら、気づいたらそう提案していた。


「い、いいの……?」

「うん。せっかく来たんだし」

「やった〜〜! ……あ、でも、店員さん忙しそうだから、さすがにちょっと、少し遠慮する」