「申しわけございません、ただ今満席でして、20分ほどお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
目的のカフェに到着すると、まあまあな人数並んでいた。
「…ほのか、どうする? 待つ?」
「うん」
「あ、大丈夫です、待ちます」
「ありがとうございます、掛けてお待ちください」
店員さんは頭を下げ、僕達の後ろに並んだ人達にも同じように訊いてまわっていた。
「…大変だね、店員さん」
空いていた椅子に座りながら、ほのかに声を掛ける。
「お昼にカフェなんて行ったことなかったから、こんなに混むものだと思わなかった…」
「そもそも僕達の地元、カフェなんてお洒落な店なかったもんね」
「……そういえば、そうかも。カラオケもないし」
偶然にも地元が同じだと発覚していたので、待ち時間は地元の話をしていた。
「大変お待たせいたしました、2名様お席ご案内いたします」
約20分後、店員さんに案内され、店内に入った。
「ご注文お決まりになりましたらお声掛けください」
そう言ってテーブルにメニューを残し、店員さんは忙しそうに店内に消えていった。
「…すごいね、こんな席あるんだ」
案内されたのはテラス席。店の外からは全く解らなかったけど、中庭があり、テラス席はそこに面している。緑と、時折吹く風がとても気持ちいい。



