そんな会話をしていたら、あっという間に6駅目に到着した。
ほぼ初めて乗ったJRに、初めて降りる駅に、初めての彼女がとなりにいる。僕は何だかわくわくした。
「えっと、ここを右です……あ、じゃなくて、ここ右」
「……」
「ほ、ほのか…」
ついうっかり敬語を使ってしまい、気づいて慌てて言い直したが、となりの彼女はそれを聞き流していなかったようだ。じ、と彼女の目が僕を捉える。
「しょうがない、許しま…、許す。次は罰ゲームですからね」
「あ」
「……あ」
今度はほのががあっさりと敬語を使った。1回敬語を使いかけて言い直したのに、直後でまた敬語が出た。
「そ、宗ちゃん……」
僕はさっきのほのかと同じように、彼女の目をじっと見た。……が、
「ゆ、許す。次やったら罰ゲームだからね」
「よかったあ〜、助かった〜」
自分から彼女を見つめたのに、恥ずかしくなって目を逸らしながら言ってしまった。
……ていうか、これだけで照れていたら、彼氏らしいこと何もできないじゃないか。
今日は頑張るって決めただろ、しっかりしろ……!
「い、行こう、ほのか」
「うん」
気持ちを切り替え、僕は頭に叩き込んだルートを辿りながら、彼女とカフェに向かった。



