三次元彼氏。



JRに乗ったが混んでいて2人並んで座れるところがなかったので、僕はほのかを座らせてその前に立った。

「あの、次の駅着いたら、交代しますね」

「僕は大丈夫です、座っててください」


目的のカフェの最寄駅は、ここから6駅先。30分も掛からずに着くので、立っているのは全然苦じゃない。


座っているほのかを改めて見る。

いつもと雰囲気が違うのは彼女だって同じだ。いつもはジーンズをよく履いているのに。

彼女も初めてのデートと思ってくれているのかと、嬉しくなった。



「宗ちゃん、となり、空きましたよ」

「あ、座ります」

4駅目のホームに入ると一気に乗客が降り、彼女のとなりの席も空いた。僕はそこに座る。


電車の座席はとなりの人との距離が近くて、僕はいつも彼女のとなりの席で講義を受けているのに、こんなに近くに座ったのは初めてで少し緊張してしまった。


「…あ、そういえば」

ふと、ほのかは何かを思い出したかのように口を開いた。


「…タメ口で話すの頑張るって言って、気づいたらいつも通りでしたね」

「あ…」


確かに。というか緊張しっぱなしで、全然気がつかなかった。


「じゃあ今日1日、敬語禁止にしましょう。敬語使ったら罰ゲームで」

「ええっ」

ば、罰ゲーム………!?