「すみません、お待たせしました…!」
「い、いえ、大丈夫です」
そしてその土曜がやってきた。
ほのかにカフェの住所をもらい、ここからの行き方は完璧に頭に入れた。
お昼をそこで食べることに決まったので、昼前の時間に駅前で待ち合わせにしていた。
彼女を待たせるわけにはいかない、と早めに駅に着いていたいと思ったのと、緊張していてもたってもいられなくなったので、僕は待ち合わせ時間の30分前に来てしまっていた。
約束の時間の5分前に、彼女が小走りで来た。
私服は見慣れているのに、今日の彼女の恰好はいつものカジュアルな服と違って、白いロングスカートだ。風になびいてひらひらと揺れる。
一瞬見惚れてしまい、彼女の『お待たせしました』の返事を噛んでしまった。
「宗ちゃん、何かいつもと雰囲気違いますね」
「…えっ」
今日は初めてのデートだから、服装はいつも以上にちゃんと考えて、今までやったことのなかった髪のセットもやってみた。ほんの軽く、少しだけ。
ほのかがそれに気づいたようで、僕が自分で望んでやったことなのに、何だか急に恥ずかしくなってきた。
「え、いや、そんなことないですよ、」
「そうですか?」
「い、行きましょう」
まじまじと見られているのに耐えかねて、僕はほのかにそう言った。



