「え、ホントに? 好きなものの話とか、テレビの話とかしないの?」
「うん…というか僕、ほのかが漫画好きなことと、スマホに詳しいことくらいしか知らないかも…」
「うっそ…」
天音さんは、本当に驚いたのか目を見開いている。
「…え、でも、出掛けたりはするでしょ? 好きなもの食べに行ったりとか」
「……したことない……」
「嘘でしょ…」
天音さんは頭を抱えた。
……確かに、付き合ってからまだ一度も恋人らしいことはしてないかも…。けど、それでも普通に付き合ってるから、あまりそういうこと考えたことなかったな………。
もしかしたらほのかは、デートとかしたいって、思ってたりするのかな……
「たまには2人で遊びに行くのもいいと思うよ。お互いのことあんまり知ってないならなおさら」
「…そうだね」
デートか………したことないし、誘ったことも誘われたこともないけど………今日の帰りにでも話してみようかな。
「お待たせしました…!」
そこへ、パタパタとほのかが走ってきた。急いで来たらしい。
「……あれ? あげさんは?」
「………あげさん? え、誰?」
「え、ガッキーの彼氏さん」
「…早瀬のこと?」
僕も天音さんも口をぽかんと開けてしまった。
……一体どうして早瀬が“あげさん”に…………?



