「昨日の帰りに進展あったんだろ? 白状しろ。言うまで今日は帰さないからな」
「え、えぇ…」
何これ拷問?
「………だから何もないって、お互いの呼び方決めただけだよ…」
「ひょおお〜〜!」
「なっ、んだよびっくりするな…」
乗り出していた身を今度は後ろの背もたれに預け、早瀬は奇声を発した。
「くっそお…初々しいなあ………俺もそんな青春したかった………っ!」
「…天音さんいるじゃん」
「天音はなあ、昔っから意地っ張りで素直じゃなくて、付き合う時ですら初々しさのうの時もないほどカラカラでさあ」
「………」
はああ、と早瀬は軽くため息をついた。
「昔からって……付き合い長いの?」
「んーまあ、小学校一緒だったけど、その後俺の親の転勤で離れて、で高校ん時戻ってきたら、俺んちのマンションの下の階が天音んちだった。何なら高校もクラスも同じだったから、そっからまた一緒だよ。あ、付き合い始めたのは高2だから、だいたい2年くらいかな」
「…へえ」
天音さんの話題を振った途端、あり得ないくらい一気にたくさん喋った。もちろん普段もあり得ないくらい話し掛けてくるけど、その時とは少し違うというか、もっと楽しそうというか…



