有無を言わさず引きずって、早瀬が僕を連れ込んだのは駅前のファミレスだった。


「腹減った〜〜…え、コレ美味そう!」

「……」


席に案内されるなりメニューを広げ、目を輝かせている。



「俺オムライス頼むけど、宗何か食う?」

「え……じゃあ何か飲み物………アイスコーヒーとかある?」

「あるぞ。ってかそんな洒落たもん飲むのかすげえな」

「いやただのコーヒー…」


言い終わる前に、早瀬は呼び出しボタンを押した。


注文が済むと、早瀬は身を乗り出して僕の顔を覗き込んだ。


「……な、何………」

「どうなんだよ?」

「……な、何が……」


何を言われるのか解らず、とりあえず水を飲んだ。


「決まってんだろ、ほのかちゃんだよ」

「っごほっ」


急に出たその名前に、危うく喉が詰まりそうになった。


「…な、何だよ急に…」

「いやあだってー、あんなにお互い照れながら名前を呼び合ってるの見ちゃったら訊かずにはいられないじゃんー?」

「…だから何もないってば。ってかただ挨拶してただけじゃん」

「いーや、あれはただの挨拶じゃない」


じゃあ他にどんな挨拶があるんだよ………。