「あの…滝本くん、何の話ですか?」

「えっ、あっ、いやっ、大丈夫、特に大した話ではないし、うん、あの、気にしないで」

僕は彼女に必死になって言った。


「…解りました」


朝からこんなに喋るなんて………


僕はこんなに余裕がないのに、三上さんは昨日のことなんてなかったみたいにいつも通りだ。



あれ、もしかして僕の勘違い………?

昨日のことって、現実じゃなかった……………?






「滝本くん、一緒に帰りましょ」


「えっ?」


4講目が終わり、帰り支度をしていたらとなりの三上さんに声を掛けられた。


「帰りましょ、家同じ方向じゃないですか」

「え…ああ、……あれ、早瀬達は?」

「俺らのことは気にすんな、初日なんだから2人で仲良く、な!」

「じゃあねーほのか、滝本くん、また明日」

「ええっ」


なおも若干ニヤついて僕を見る早瀬と、天音さんは僕達2人を残して先に講義室を出た。



「ほら、帰りましょ」

「あ、はい」


何だろう、こんなにあからさまに2人きりにされると余計緊張するというか、変に意識しすぎてしまう。


並んで講義室を出たが、となりの三上さんの表情はいつも通り。