彼女の家と僕の家は反対方向だったけど、僕は嘘をついて彼女と同じ方向へ向かった。
何だろう、今日のおかしな僕のせいにしていいかな。
「今日昼で講義終わったから、明日からまた4講まで受けるのきついですね」
「そうですね」
そんな話しかしていなかったのに、この前、徒歩5分圏内と言っていた彼女の家にはすぐ着いてしまったらしい。
彼女は立ち止まると「じゃあ、もう家すぐそこなので」と僕に言う。
まだ足りない。もっと話したい。
そんな思いが僕の頭の中に次々と浮かぶ。
おかしい、何でだろう。今日はいつも以上に話したじゃないか、充分だろう。
「滝本くんはもう少し先ですか?」
明日だって会える、となりに座って講義だって受けられる。
「…滝本くん?」
明日だってまた話せる、また学食にだって行ける。
なのに……………
「あの、滝本くん?」
「好きです」
「っえ?」
………え?



