———「じゃあ、2日後は入学式だから、みなさんくれぐれも遅刻しないように。解散!」



「…早瀬、早瀬、終わったよガイダンス」

となりで気持ちよさそうに眠っている彼の肩を揺すって声を掛ける。


「…んんんんんー、」


思ったよりも彼はすぐに体を起こし、両腕を上に伸びをした。


「んあー、おはよー、まじで起こしてくれたんだ、ありがとう」

「えっ、だって、起こしてくれって頼まれたから…」

「高校ん時は起こすの頼んでもそのまま置いて帰るような非情野郎ばっかだったからさ、ありがと、帰ろーぜ」


そう言って彼は立ち上がり、何も入っていなさそうなぺたんこな鞄を肩に掛けた。



「うん…あ、けど僕アパートすぐ近くなんだ」

「え、ひとり暮らし勢?」

「うん、実家からだと遠くて」

「まじかよいーなあ、俺もひとり暮らししたかったけど親が金ねえから無理だって。これから4年間毎日JR片道1時間通学だよ」

「え…片道1時間も掛かるの?」

「そーだよ、絶対1講間に合わねー」



盛大な溜め息をつく彼の後に続いて、大学を出た。