そしてとなりのほのかはというと、まだ真剣にゲームをしている。

目、疲れないのかな…と僕はいつも心配になるが、彼女曰く、ブルーライトカットのメガネをしているから大丈夫、らしい。

僕はしばらく彼女の横顔をぼーっと見ていた。


去年の4月、初めて彼女と話して、まさかこんな風に2人で休みの日を過ごすなんてこと、想像つかなかった。

最初はあまり期待していなかった大学生活も、早瀬や天音さんのおかげで楽しく過ごせているし、何より、今僕のとなりにいる彼女が、僕にたくさんの幸せをくれている。


最初はお互いの距離感が掴めなかったり、何度かすれ違いが起きたこともあった。

けどその度に、2人で話をたくさんして解り合って、そして少しずつ信頼関係も築けてきていると思う。

今までいろいろな時間を2人で過ごしてきたけど、僕はこれからも彼女のとなりにいたいし、彼女を幸せにしたいと思う。


「…宗ちゃん?」

「…え?」

いつの間にかスマホから目を離して僕を見ていたほのかは、不思議そうな顔で僕を呼んでいた。

「どうしたの?」

「…ううん、何でもないよ」


笑った顔も、嬉しそうにごはんを食べる姿も、真剣にゲームをしたり漫画ではしゃぐ姿も、これからもずっと、となりで見ていきたい。

「…っえ、そ、宗ちゃん…!?」

そんな未来のことを考えたりもするけど、今は、こんな毎日が、堪らなく好きなんだ。

僕はそんな気持ちで、彼女を抱き締めた。





( かけがえのない日常 )