学食に着くと、食券機の前で2人が待っていた。


「おせーぞ2人ともー」

「ごめん」

「私達はもう食券買ったから。ほのか、何食べる?」

「うーん……」


彼女が迷っている横で、僕は定食Aセットの食券を買った。



「決まった」

「どれ?」

「これ」


そう言って彼女は、ショーケースの中のメニューの食品サンプルを両手で指した。


「…え?」

早瀬は口をぽかんと開けた。


「…ほのか? 空腹でおかしくなった?」

「ううん、そんなことないよ」


彼女が指差したのは、定食Bセットと大盛りチャーハン。


「…え、マジで? そんなに食べれるの?」

嘘だよな、と言いながら彼女に問い掛けた早瀬。


「食べれますよ、おなか空いたし」

「ほのか、少しは遠慮したりとかそういうのは…」

「ガッキー早く入ろ、おなか空いて死にそう」

「……………」


唖然とする僕達3人を残して、彼女は嬉しそうに中へ入って行った。




「嘘だろ食細そうだったから割り勘提案したのに…」

「あの小さな体のどこにあの量のごはんが入るの…」


驚きを隠せない僕と、頭を抱える早瀬と、信じられないといった顔の天音さんで、彼女の食券を買った。