明日は休みだし、今日は帰ったらごはんを食べて、日付が変わるまで本を読もうかな。今日は何作ろうか………
「宗」
リュックに手を掛けたところで、早瀬が僕を呼んだ。
「ん?」
「肉食いたくね?」
「…え?」
早瀬に連れられ、大学通りにある焼肉店に入った。
「焼肉とか大学入って以来かもしんねえ」
「僕もすごい久しぶり」
「ここ学割効くからうちの大学のやつら結構行ってるらしくて、気になってたんだよね」
「そうなんだ」
店内いっぱいに焼肉のいい匂いが広がり、まだ夜ごはんには早い時間なのにおなかが空いてきた。
「宗ホルモン食べれる?」
「うん、食べれるよ」
早瀬は店員さんを呼ぶと、数種類の肉を注文した。
「高校ん時、うちの家族と天音の家族で焼肉行ったことあるんだけどさ、天音ホルモン食べれなくて、『何コレ!』って半ギレしてたんだよね」
早瀬はその時のことを思い出したのか、くっくっと喉を鳴らして笑った。
「家族同士も仲良いんだ」
「まあね、一応小学校からの付き合いだし」
それにしたって、家族ぐるみで仲がいいのは珍しい気がする。
「あ…ごめん、宗の食べたいもの聞かずに注文しちゃった」
「いいよ、全然」