「ええっ、そんな、いただけません…!」
「いいのいいの。じゃあまた後でね!」
5千円札をほのかに渡すと、姉はバスに乗り込んだ。
「…ほのか、本当ごめん、巻き込んで…」
「ん? 何のこと?」
彼女は楽しそうに笑いながら「いいですね、舞香さん、私好きです」なんて言うものだから、僕は驚きを隠せなかった。
「スーパー行くけど、宗ちゃんも来る?」
「もちろん行くよ、手伝う」
「ありがとう」
スーパーに着くと店内は、日曜だからか家族連れが多い。子どもを連れながら夫婦で店内を見て廻る様子を見ていると、僕達2人も、周囲から見たら夫婦に見えたりとか…
「宗ちゃん、たこ焼きってたこ以外に何入れる?」
「えっ」
急に話しかけられ、我に返る。そんなわけないだろ………!
「え、っと、…チーズとか…?」
「やっぱりチーズは外せないよねー」
手伝うって言ったんだから、しっかりしろ……!
「ほのか、カゴ持つよ」
「え、ほんと? ありがとう」
それからカゴいっぱいに食材を入れ、会計の列に並ぶ。
「あ、宗ちゃんこれ…舞香さんに返しておいて、やっぱりこんなにいただけないから」
「いいよ気にしないで。たぶん返したら怒るよあの人」
「ええっ…」



