三次元彼氏。



返す言葉も見つからない。

姉は「あーよかったよかった、死んだと思ったわ〜」と呑気に笑いながらお茶を飲んだ。

……何だろう、無駄に疲れた…………


「…じゃあ、僕もう帰るよ」

「うん、ありがとね」

帰ったら一旦横になろう……そう思いながら体の向きを変えると、

「…あれ、宗ちゃん」

目の前に、ほのかが立っていた。


「ほのか、どうしたのこんなとこ」
「ほのか!?」

後ろから、ものすごい勢いで姉が来た。

「え……?」

突然見知らぬ人にじっと見られ、ほのかは少し混乱したような顔で僕を見た。

「この子が噂のほのかちゃん?」

姉はにやにやと片方の口の端を上げながら、僕をつついた。


「…そうだけど…」

何で今このタイミングで………引かれるだろうから、ほのかには絶対会わせたくなかったのに………


「はじめまして、宗一郎の姉の舞香です。宗がいつもお世話になってます〜」

「あっ…宗ちゃんのお姉さん…! はじめまして、三上ほのかと申します…!」

「やーん可愛い! 何この子! 超可愛いんだけど!」

「痛いよ姉さん…」

興奮したように、姉は僕を肘で何度も突いた。


「てかあんた、“宗ちゃん”なんて可愛く呼んでもらってるの? リア充が」

「い、いいでしょ別に…」