三次元彼氏。



姉からの質問攻めに、一度オレンジジュースを飲んで「いいじゃん何でも…」と適当に答えた。

「えーっ、つまんない。同じ学科でしょ? どこ住んでんの? 会ってみたい!」

会ってみたいって……こんな嵐のような姉、ほのかに会わせられるわけがない…

「会わせるわけないでしょ」

「えーっ、つまんない! あっ、名前は? 名前訊くだけならいいでしょ?」

しつこいな……きっと、僕に今まで彼女がいたことがなかったから、面白がってるんだろうけど……。

「…三上ほのか」

「えーっ可愛い!」

また適当なこと言う。

「もういいでしょ、さっさと食べて風呂入って寝なよ。明日企業説明会なんでしょ? 寝坊しても知らないよ」

「えーっ、何かお母さんみたい」



夜ごはんを食べ終え洗い物もして、少し課題をしてから風呂に入ると、時刻は0時を過ぎた。

風呂から出ると、姉は明日の準備を進めていた。


「…明日は何時に出るの?」

「9時過ぎとかかなー。あ、バス停まで案内してね」

「何で?」

「調べたけどよく解んないの、宗の大学の近くっぽいんだけど」

「大学の近くなら5分もあれば着くよ」

「てことでよろしくね、おやすみ」

「えっ」

姉は僕の返事も聞かず、そして僕の了承も得ずに僕のベッドに転がった。


……別にいいけどさ…。

僕は仕方なく、タオルケットを引っ張り出して床で寝た。