「すごーい! 宗が料理してるー!」
「……」
夜ごはんを作り始めたら、さっきまでテレビを見ていた姉が覗きに来た。
「お母さんに宗の料理姿送るわ、宗、こっち向いて」
「いいよそういうの…」
「えー」
不満そうな声を出しながらテレビの前に戻る姉。
そして、数十分後に出来上がった料理をテーブルに運ぶと、姉はまた「すごーい!」と声を上げた。
「いただきまーす」
テーブルを挟んだ向かいに姉がいることが違和感しかなくて、すごく変な感じがする。
「うまー! 宗はいいお嫁さんになるねきっと」
「何言ってんの…」
「あ、レモンサワー出してないじゃん」
姉は口をもぐもぐさせたまま立ち上がり、冷蔵庫に向かう。
「はい、宗はこれね」
「…ありがとう」
コップになみなみとオレンジジュースを注ぎ、姉はレモンサワーをぐいっと1口飲んだ。
「…そういえば、お嫁さんで思い出したけど」
ごはんを口に運びながら、姉の次の言葉を待っていると。
「宗あんた彼女作らないの?」
「っごほ、」
予想すらしなかった言葉にむせる。……何だよ急に…………
「お? その反応はいるな、どんな子? どこに住んでんの? 可愛い系? 綺麗なお姉さん系? 芸能人だと誰に似てる?」



