「うん、大丈夫、何でも食べれるよ」
「よかった〜、口に合うか解んないけど」
テーブルの前に腰を下ろす。ほかほかと湯気が立ち、さっきまで微塵も感じていなかった食欲が湧いてきた。
「いただきます」
手を合わせる。
「どうぞ。三上ほのか特製、梅のお粥と玉子スープです」
まず、玉子スープを1口飲む。
「……え………これ、美味しい…! すごい美味しい」
「よかったあ」
嬉しそうに笑った彼女は、僕の横に座った。
続いてお粥も食べる。
「美味しい………! 何でこんなに美味しいの作れるの…?」
「普通にだよ、実家出る前にお母さんに教わっただけ」
彼女はそう言うと、じゃあ私も食べよ、と立ち上がった。
「え……ほのか朝食べてなかったの…?」
「うん。だって宗ちゃんが体調悪いって言うから、心配で急いでスーパー行って、それからすぐ来たから」
え…………わざわざ、材料買いに行ってくれたってこと………? だから、あんなにリュックが重そうだったんだ……
キッチンに戻る彼女の小さな背中を見た。あんなに小さな体で、あんなに大きなリュックいっぱいに重たい思いをしながら来てくれたんだと思ったら、泣きそうになった。



