「…あの、ちなみになんですけど」

「はい」

「毎日1講からなんですか? 4講からとかできないんですか?」

「……」


……何だろう、すごい人だな……。



「できないですよ、講義の時間決まってるから」

それを聞いた彼女は、ガックリと肩を落とした。


「…毎日朝9時から夕方の4時過ぎまで、じっと座って講義受けなきゃいけないってことですか、半年間も……?」

「…そうですね」

「………大学入るとこ間違えた……」

「…え?」


彼女は項垂れながら全ての講義にチェックを入れ始めた。



「……あの、たぶんどこの大学もこんな感じだと思いますよ」

「え」

僕がそう伝えると、彼女は尋常じゃない速さで僕を見た。


「…そうなの……? え……詐欺、大学入らなきゃよかった…」

えええ。そこまで言うほど!? ていうか詐欺って何………。


彼女は特大の溜め息を吐くと、履修登録の送信を終えた。




「……って、え今何時ですか?」

「え…」

スマホを見ると、時刻は16時半。