いつか誰かに恋をする………。

『和花、夏休みに入ったら直ぐ出発らしいぞ。』

『五人の中に、藤堂と佐藤が入っているって。
仲良し三人が一緒なら、安心だな。』

『和花のホストハウスは、老夫婦だって。』と

誠情報が、唯一の和花の出発を知らせる。

初めはチクチク言って来てた藤堂や佐藤………一花姉も。

だんまりを決め込む俺に苛立ち。

誰も何も話さなくなった。



別に…………

だんまりを決め込んだ訳じゃないんだけどなぁ。

自分自身。

何をどうしたいのか?

和花に何を言えば良いのか。

分からないまま

時が過ぎているのだ。



『和花が居なくなる』

その事実だけが……………

重く俺の心にのし掛かっている。


お袋が居なくなった時よりも。

親父が、死んだ時よりも。

俺の心は…………

どうしようもない哀しみに、締め付けられている。