「それで。
どうして和花は、あんな男と一緒に帰ってたんだ??
和花なら、アイツの魂胆なんて分かっただろう?
それも、パトロールの時間に合わせたように
学校の前を歩いて…………。
まさか、彼氏を俺達に見せびらかせに来たのか?」

ニッコリ笑って和花に聞いているが……………

俺には笑えない。

「和花、ホントか??
どうして??
ホントに彼氏なのか??
学校でも噂が流れてたけど…………
ホントに彼氏が出来たのか??」

さっきまでは、澤先生との意外な共通点に目が行き忘れていたが………

あの男との関係の方が重要だった。

覗き込むようにして聞く俺に。

「そんな訳ないでしょう!
ホントに塾の先生だよぅ。
澤先生も変なことを言って、祥兄ちゃんを混乱させないで下さい。
学校の前を、この時間に歩いてたのは………偶然です!
彼氏でもなんでもない人を
見せびらかす訳ないでしょう!!
たまたま遅くなったら、塾の玄関で一緒になって着いてきたんです。
ちょっとしつこいから………お母さんに駅まで迎えに来てって電話して。
駅までも………二人だと不安だから……………
学校の前を通って……………」

「ほらみろ。
やっぱりあの男が、不安だったんだろう?
そういう時は、ちゃんと祥太に電話しろ。
祥太が無理だったら、俺だって良いから。
何かあってからじゃ遅いんだぞ。」

澤先生の言う事は最もで。

さすがに、和花も懲りただろう。

「和花。
塾は、辞めろ。
もしくは………一花姉か母さんに送り迎えしてもらえ!」

今まで猫っ可愛がりだった俺の厳しい声に

びくっとなったが………

これだけは、許してやれない。