「おやっ?
田辺君は、まだですか?」

多分、分かっているはずだけど………

わざとそう聞いて来る。

「あっ………あぁ~
そう…………です…………か………ね………
……………えぇ?!
あっ……すみません!
えっ?!
……………あれっ????」

澤先生に報告する内容に困っていた俺は。

『はい』とも『いいえ』とも答えず誤魔化し

何気なく門の外を見た俺は…………………

目を疑うものを見つけてしまった。




和花???

……………………と……………男???

まさかと思う俺の後ろで…………

俺と同じ方向に視線を送った澤先生が

「和花か??」と………。

澤先生にも、和花に見えるなら………………

やっぱり間違いない。

ショックに立ち直れない俺だが…………

この時間にうろついている生徒を、注意するためにパトロールする俺達は。

澤先生に引っ張られるようにして

和花を追いかける。

なんでこんな時間に、遊び歩いてるんだ??

あれが噂の彼氏か??

一花姉と母さんは、何をしてんだよ!!!

誰に向けてか分からないイライラに

「和花!!!」と

今まで出した事のないような大声で怒鳴っていた。