「ねぇ、聞いた?!
和花が、彼氏出来たって!!」

「なんでも、生徒会の人らしいよ!!」

「ウソ?!
私が聞いたのは……
他校の生徒だよ!」

「それこそデマだよ。
隣のクラスの山本君と付き合ってるって聞いたもん。」

「えぇ~
バスケ部の先輩じゃないの??」と

やたらめったら、和花の恋の噂を耳にするようになった。

俺から見ると。

入学して半年経つが………

それほど変わったように見えないけど。

噂が出るって事は……………

やっぱりどれかは、本当なんだろう。

……………一花姉が、喜びそうだな。





和花の変化に気づかないまま

更に数ヶ月過ぎ。

季節はすっかり冬の装いを始めた頃。

気づくと街は賑やかに彩られていた。

「それでは、今日のパトロールは…………」

男の教師が、手分けして見回るこの時期。

今日は…………和花の担任の澤先生と俺と

新人の英語教師………田辺君がチームだ。

田辺君かぁ~

思わずゲンナリする。

今年から教師になった田辺君。

教師と言えど……イマドキの彼は

必要以上の関わりを嫌い

「祥太先生、今日ちょっと体調が悪くて………」と

何らかの理由をつけて断るのだ。

何故か俺に懐き、断りを全て俺任せにする困った奴なのだ…………。