長く暗い廊下を歩くと…………

重い扉の前に、見覚えのある男の人がいた。

「あっ!
クマさん。」

懐かしく嬉しくなった俺が、笑顔を見せると。

クマのような顔が、寂しく笑って………

頭を撫でてくれた。

「ここで待っててやるから………行ってこい。」

中に入る事を薦めた男は………

お姉ちゃんに一言二言告げて………壁に背中を預けた。

「祥ちゃん、いい?」

扉を開くと………

一美おばちゃんがいた。

「祥…………ちゃん………。」

おばちゃんの隣のベッドには、何かが置いてあり布がかけてあった。

見たらダメだ!!!

絶対、怖い!!!

そう思うのに。

逃げ出すことも………

目を瞑る事さえ、出来ずにいた。

「お父さんよ……………。」

おばちゃんが、頭の上の布を捲ると………

さっき『楽しんで来いよ!』と笑顔を見せたお父さんが

青白い顔で…………寝ていた。

「お父さん??
お仕事は??
どうして………寝てるの??」

色々聞いてるけど………

本当は……死んでるって………気づいてる。

だって

去年死んだひいばあちゃんと同じ顔をして、動かないから………。

ひいばあちゃんは………

あれから一度も……笑わなかったし………

目も開けなかった。

そうして………少しの間お家にいて…………

骨になった。

それからは………会えてない。