窓縁と悪魔




「そんな……じゃあラスも元は天使だったの…?」


「多分ね」


「多分…?」


「そ。 僕達悪魔は堕天したら天使の頃の記憶を無くすんだ 天使だったという確かなことは覚えているのにそのときの名も姿も 覚えていないんだよ


だから僕の中に今ある記憶は全て悪魔になってからの記憶だけ 天使の頃の記憶は覚えていない


だから自分が生きてきた確かな年数も分からないんだ」


「天使は…みんな悪魔になるの?」


「そんなことはないよ みんながみんな悪魔になるわけじゃない


堕天するのには何か、その天使の心を大きく変えてしまうような きっかけが必ずあるはずだからね


かくいう僕もどうして堕天したのか覚えてないけど」



ディア帝国の王族にまさかそんな秘密があったなんて…


「天使族は皆 光の魔法を使い、悪魔族はそれと対になる闇の魔法を使うんだ


そして魔法には強さの順列があってだいたい5段階に分かれてる。


…と言っても大層な物じゃなくて、その術者の持つ“魔力”次第だけどね」


魔法ね…孤児院ではそういう類のものを使う人はいなかった ただ院長だけは精通していたらしいけど…


「その強さの順列というのはどういうものなの?」