窓縁と悪魔





「ラス……」


「でも慣れてしまったけどね だから大丈夫だよ」


大丈夫なこと、ない。あるはずがない。こんな所にずっと1人で誰とも触れ合うことなくいるなんて


それにラスの寂しそうな顔 隠そうとしていてもその悲しみが伝わってくる


「ラス…あのね」


「なに?」


「私 ………ここに残る」


「なっ… えっ はっ……えぇっ!?のこる!?」


「うん もしラスが迷惑とかじゃなかったらの話なんだけど…」


「いや 僕はいいんだよ カンナがいてくれるのはすごく嬉しい…… けど


孤児院からむかえが来るんじゃないのかい?」


「そうね 孤児院からの迎えは来ると思う だから 私を死んだことにするの そうすれば連れ戻すことはできないし


それに昨日は雨もすごかったし 3日間飲まず食わずだと 力尽きて山のどこかで死んでる ことだって有り得る…… でしょ?」


それでもラスは納得しないような 心配そうな顔で私のことを見る


「君を死んだことになんて……」


「あなたは優しいのね まるで暖かな太陽みたい…わたしと初めて会った時から


でもいいの あそこでの私は私じゃない 私自身を押し殺して生きてる


あそこでの私は死んでいるから だから いいの


それにあなたも私も 1人よりも2人の方がいいでしょ?」