女の子と別れた私たちはまた見回りをするため歩き出す。
何も話さなくなった朝陽くん。
沈黙に耐えられなくなった私は何か話す話題がないかと考える。
「…あ、うちらカップルだと思われてたんだね~!」
そう言って朝陽くんの方をチラッと見てみる。
朝陽くんは私の方を見ずに首に手を当てて
「そーみたいだね」とだけ呟いた。
なんか、不機嫌?
もしかして嫌だったかな。
そうだったらかなり落ち込むんだけど…。
そう思いながら歩いていると丁度私のクラスの前を通った。
「あ、そういえば羽柴たち結局なんのお化け屋敷なの?」
「あーうち?うちはね~」
私が答えようとしたとき教室からまりりんが出てきた。
「あ、生成と朝陽くんだ!」
「え!まじ?」
まりりんの声に反応して美琴とゆりぞーも顔を出す。
「お!お疲れ様~!もう見回り終わり?」
「ううん~あとちょっとかな?」
「え、じゃあ朝陽くんうちのお化け屋敷よってってよ!他のお化け屋敷と違うから!」
「そうそう!うちはね~名付けて『インスタ映えお化け屋敷』だから♪」
「え、なにそれ」
朝陽くんが分からないといった様子で首をかしげる。
「普通のお化け屋敷じゃつまんないからさ~映えを狙ってこーってことで至るところに映えスポットを用意してるの!」
「羽柴が言ってたのってこのこと?」
朝陽くんがキョトンとした顔で私に問いかける。
「はい…。でもでもクオリティは高いから!」
「そうそう!ってことでお二人様どーぞー」
ゆりぞーが私と朝陽くんの背中を無理やり押して教室の中に入れる。
えぇ、本当みんな勝手なんだから…
「ごめん、朝陽くん。」
私が申し訳なさそうに謝ると
「全然!なんならワクワクしてる(笑)」
「なら良かったけど…」
教室に入るとお化けの格好をしたクラスメイトたちに暗幕の中へと誘導される。
やばい…。脅かす側の時は怖くなかったのに。
ちょっと怖いかもしれない…。
