私の悲鳴に驚いたのか演奏はピタッと止まり逃げるよりも先に部室の扉が開いた。



「おい!どした!?って…羽柴?」



顔を出したのは朝陽くんとその他男子2名。




「おい~響!女の子脅かすなよ~」



「えっ俺のせい!?」


私の後ろに立っていた男子が違うよね!?と訴えるように私を見つめてくる。



「うん。私が勝手に驚いただけ、です。」



「もぉ~生成の悲鳴にびびったわ…」



「何か用だった?」



私を見つめ問いかけてくる朝陽くん。




「ううん、ただ歌声が聴こえたから。」



「ふっ……そっか。」


優しく笑う朝陽くんに周りの軽音部男子が「おぉ…!?」と目を輝かせる。



「なになになに!?どういう関係!?」


「いや、別に?」


「俺らに嘘つくなよ~!」


「君!名前は!?」



私の後ろにいた男子が興味深々で尋ねてくる。



「羽柴生成!」




「はいおっけー覚えた!きなりちゃんね!」



「あーお前らダルいわ。練習するぞ~」



そう言ってダルそうに部室に戻ろうとする朝陽くんを軽音部男子たちがわらわらと囲む。



「いーや!練習どころではなーーーい!取り調べにはいりまーーす!」


「おい💢お前練習めんどいだけだろ?」



賑やかそうな声がする輪の中で私と目が合った朝陽くんが「羽柴またなっ」と手をあげた。



「うん!」



その真似をするように私も手をあげる。




パタンッ



部室の扉が閉まっても男子たちの声が廊下に響いていた。