「おはよう。」

歯磨きをしている鏡に…………

爽やかな笑顔のお兄ちゃんが映り込んだ。

!?

………………………。

「……………おはよう。」

恥ずかしくて

サッとうがいをして出ようとする私の肩を掴んで

ギュッと抱きしめられた。

…………………………。

えぇ~っ!!!

お兄ちゃんって……………

こんな事する人だった????

ドキドキして、顔も上げられずにいたら。

「……………彼女かぁ~」って………

噛み締めるように呟くお兄ちゃんの言葉が

頭の上から降ってきた。

もしかしたらお兄ちゃんも………実感したかったのかなぁ?



顔を上げて確かめようとすると………

目が合い。

「クマさんと一花姉………母さんに報告しようと思うけど………
いいか?」って聞かれた。

報告。

『お付き合いします。』だよね??

コクンと頷く私に

「軽く頷くなよ。
よく考えて………返事をして欲しい。
俺と付き合うってことは………
もう、別れてやれないぞ。
家族だけど………
家族を壊して………やがて俺の家族になるってことだからな。」

ややこしい説明だけど……

この間、澤先生に教えてもらった………

お兄ちゃんの気持ちが甦って………。

お兄ちゃんなりの覚悟をした上での報告なんだって………理解した。

先生の言葉を思い出して

理解するのに少し時間がかかったせいか。

不安そうなお兄ちゃんの顔が、私の目に映った。

大丈夫だよ。

私は……

ずっとお兄ちゃんの隣にいる。

永遠の家族だよ。

だから………心を込めて呼んだ。

「祥太さん。
大好きです。
ずっとずっと一緒に居ようね。
だから………
お兄ちゃんは………これで卒業!
『お兄ちゃん、今までありがとう。』
祥太さん………愛してます。」

目を見開いて………

それから、今までで一番良い笑顔を見せてくれた。

その笑顔は、何処か幼くて………。

孤独を抱えて過ごしてきたお兄ちゃんを思わせた。

『これからはずっと………側にいるよ。

お兄ちゃんの淋しさも、孤独も………

私が全て包んであげる。』

心に誓って…………抱きしめ返した。