コンコン。

「お兄ちゃん、いい?」



目の腫れが引くのを待ったら、夜になってしまった。

昔、小さい頃は

夜になるとお兄ちゃんの部屋に枕を持って

お母さん達に見つからないように、こっそりお邪魔していたけど。

小学生の中学年の頃になると

『さすがに一緒に寝るのは……』ってお兄ちゃんに言われて

夜遅くまで一緒にいても、寝る時は部屋に帰されたの。

中学に上がってからは、部屋に来ることもなくなって。

リビングで話すことが多くなった。

だから………凄く久しぶりのお兄ちゃんの部屋。

この後の告白のこともあって

緊張して声をかけると…………



「あっ…………
えっと。
いやっ、ちょっと待って!!
今、キレイにする。
後5分!
いやっ、3分でキレイにするから………
ちょっと待って!!」って声が返ってきた。

掃除??

キレイ好きなお兄ちゃんが、汚くしてるなんて信じられず

もしかしたら、エッチな物を見てた?って

ちょっとドキドキしながら待っていると………。

「お待たせ。
……………いいよ。」とドアを開けてくれた。

部屋に入ると

焦っていたわりにはキレイで。

その代わり、窓がおもいっきり開いていたから………

「もしかして、エッチな本かビデオ隠したの?
見てた??」って聞いてみた。

一瞬キョトンとしたお兄ちゃんは

「アホ!
中年オヤジが、今更そんな物見るか!
ちょっと汚すぎたから…………」って

照れた顔をしてた。

本当に見てたのかな??

お兄ちゃんのドタバタのお陰で………

さっきまで感じていた緊張は和らぎ、笑顔を見せる余裕も出来た。