「親父とは、幼稚園の年長まで一緒に生活した。
和花も知ってる通り………
俺が年長組のお泊まり保育の日に………事故で呆気なく逝ってしまった。
あの時、病院について行ってくれたのが一花姉。
母さんは、先に病院に行って親父の最後を看取ってくれたんだ。
そして………何故かそこに二年ぶりのクマさんがいて。
ホント………。
あの人は俺が一番しんどい時に、つくづく縁があるよなぁ。
それからは、一花姉と母さんが引き取ってくれて………
母さん達の家族になった。
一花姉が結婚して………
離婚して帰って来て…………。
和花が生まれた。
あの日は………本当に嬉しかった。
俺が生まれて………一番の幸せかもしれないくらい。
一花姉が………俺に名前を任せてくれて…………。
名前って………一生の贈り物だろう?
俺がつけていいのか悩んだけど。
一花姉が『大事な弟につけて欲しい』って言われて………
『家族の花を繋ぐ………和花』ってつけたんだ。
和花が生まれて……
存在も、名前も………
全てで俺に………家族をくれたんだ。
さっきクマさんが贈った………ネックレス。
本当に、良いところ持って行くよ………あの人は。
でも、俺も本当にそう思う。
『和花が家の絆なんだ。』って………。
ネックレスは………その象徴。
だから…………」

そう言うと、話しを止めて。

ジャケットのポケットに、手を入れた。