「ほらっ、。目が腫れるぞ。」って

ハンカチで拭いて。

「悪い…………。
けど、もう少し………付き合って。」と言うと。

また話し始める。



心が掻きむしられそうな程

悔しさと苦しさがいっぱいの内容だけど………。

それでも話したいって思うなら………

最後まで聞くよ………。



「その後は………
警察や親父が来て大騒ぎになった。
びっくりした俺は、泣きじゃくって………。
その時出逢ったのが、クマさんなんだ。
まだ3歳の俺を、一人の人間として扱ってくれて………。
お袋に置いて行かれて………
大人に不信感を抱いた俺は。
……直ぐに懐いたんだ。
今考えたら、刑事として質問したり
相手をしただけなんだけどなぁ~」

すっかり騙されたって笑う祥ちゃんは………

今と変わらず、お父さんが大好きだったんだなぁって思う笑顔で

思い出を語った。

「一花姉と母さんが迎えに来て
落ち着くまでは、今の家で世話になった。
お袋は、男と駆け落ちしたみたいだけど。
子供を捨てたことで罪になって
指名手配されたらしい。
結局直ぐに捕まったみたいだけど。
その辺の事は………
3歳の俺には、分かるはずもなくて。
ただお袋がいなくなって、一花姉達と住んでたってくらいの記憶なんだ。
それから少しして、親父と二人暮らしを始めて………。
男二人で大変なりに、楽しく過ごした。
あっ!
さっき話しに出た、最後にお袋と買い物したのが
………あの、元デパートだったんだ。
置き去りにされて………初めて来たんだけど………。
以外に冷静に見れたなぁ~。
多分、和花が一緒に居てくれたからだな。」

そう言って笑いかけてくれる祥ちゃんは

もう淋しそうな顔をしてなかった。